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【各お寺のお斎まとめ】おいしいだけじゃない、精進料理の大切な意味とは?@御正忌報恩講

【各お寺のお斎まとめ】おいしいだけじゃない、精進料理の大切な意味とは?@御正忌報恩講

この記事は2016年3月に公開されたものを再編集しています。

こんにちは!おてライターのHIDEさんです。

豊前周辺地域には上毛組(こうげそ)という浄土真宗本願寺派(西本願寺)のお寺のグループがあり、全て合わせると18ケ寺もあります。

それらのお寺が親鸞聖人のご命日の法要である、御正忌報恩講をそれぞれのお寺でつとめていきます。

そこには「参り合い」という文化があり、自分のお寺だけでなく、他のお寺へもお参りをしています。

お互いに参り合うことで、お経のお勤めが華やかになり、ご門徒さんたちにも喜んでもらえる仕組みになっています。

さて、その御正忌報恩講もお正月をはさんで後半戦に差し掛かりました。

豊前周辺では2月末の教圓寺さまがゴールとなります。

今回はその後半戦を迎えるに当たって、11月・12月に御正忌報恩講が行われたお寺の様子を「お斎」を中心に振り返ると共に、今一度、「精進料理」についてみていきたいと思います。

では、参りましょう!

精進料理とは?

※はじめに

浄土真宗は阿弥陀様の本願(利他力)をいただく教えで、自らをたよりにする修行を行いません。ですので、厳密にいうと精進料理も戒律などに準じたものではありません。(そもそも、戒律がないので)
そのため他の仏教宗派とは精進料理に関して少し意味合いが違ってきます。

そういうところから、浄土真宗の精進料理(お斎)は、どちらかというと修行というより、文化的背景や風習、お参りの方へのおもてなしという性格が強い気がします。

以上を踏まえた上で、下記の意味に触れてみてください。

御正忌では、婦人会お手製のお精進(おしょうじん)のお食事、お斎(おとき)が出されます。

 

『精進料理』は基本的には、お肉やお魚を使わない料理のことですが、ただの菜食主義とは異なり、食事の時間を通して、生かされていることに気づいていくものでもあります。

 

私たちは、お食事を食べる前に、「いただきます」と言いますが、それは、私が「他のいのち」をいただくという意味です。

 

食事をしないと生きられない私たちですから、それは他のいのちを奪ってしか生きられないということを意味しています。

しかし、残念ながらそのことを普段の食事の中ではほとんど意識することがありません。

 

そこで「精進料理」に大事な意味が出てくるわけです。

動物と植物を分ける理由

「精進料理」では動物と植物をあえて分けて考えていきます。

具体的にはお精進では、肉や魚を使わず、野菜のみを使用し調理していきます。

 

ですが、よく考えると、植物も大切な「いのち」であることに変わりありません。

 

そうであるならば、動物と植物を分ける必要はないのにどうして分けるのかというと、私たちがそうしないと分からないからです。

 

動物は、見た目に分かるように、動き、息をします。

この動きによって、私たちは動物が生きているということをはっきりと意識し、さらにその「いのち」が絶えた時には、「死」というものを強烈に感じていきます。

そして、その「いのちの躍動する姿」は私たち人間に「情」を感じさせます。

それは、動物たちが私たちと同じように体の中に血が流れ、骨や筋肉があり私たちと近いと感じるからでしょうか?

 

一方で植物には、同じ「いのち」であるにもかかわらず、その感性は鈍くなる傾向があるようです。

そこで、あえて、「私たちがいのちをいただいていると自分自身に分かるように」肉や魚、動物を使わないと宣言するのです。

ニワトリや豚を自分たちで育て、最終的にしめるという、食育の「真逆の方法」ですね。意味は同じですが。

 

以上のことから、日ごろの食事のありようを見つめなおし、私たちが他のいのちによって生かされているということを、「お精進」によって気づかせてもらうのです。

参考:こんぴら奥の院 箸蔵寺 「精進料理」のお話

余談:断食ではいけないの?

「いのちをいただいていることを実感するのであれば、断食でもいいのでは?」

という方もいらっしゃるかもしれません。

たしかに、そちらの方がより意識することができるかもしれません。

 

しかし、断食をして、ずっと食べないということは不可能ですし、結局、どこかのタイミングでは食事をすることになります。

そういった非日常を強制的に生み出すよりも、普段の私たちの「自然な生活の流れの中」であえて動植物を分けていくことの方がいいと、先人たちは考えたのではないでしょうか?

それに食事だけでなく私たちが一日生きて活動する中では意識せず小さな虫などを殺生をすることもあります。

そういう意味では「どうあってもいのちと関わらずにはいられない私である」ということに気づいていくことが大事なのかもしれません。

お斎に着くには?

時間…朝席終了~昼座が始まる前までにお越しください。
必要なもの…お斎料(お初穂)

お斎料

賢明寺では、お斎料として、

・懇志…1000円以上。もしくは、
・米…一升(いっしょう)

としています。

どちらかを持参していただいて、受付(庫裏・くり、お寺の住居部分の方)でお渡しいただければ、お席についていただき、お斎を召し上がることができます。

下記に他寺の御正忌報恩講のお斎の様子を載せていますので、ぜひ、ご参考にしてください。

御正忌・お斎の様子

※2014年(平成26年度の様子です)

2014年(平成26年)11月6日(木)豊前市 下河内 浄福寺さまにて


お内仏。きれいにお荘厳されています。


みなさん、お昼の法座の前にお食事をされます。


まめとこんにゃくも入っていました。


おからです。お酢が入っています。

これらは、すべて、お精進です。

お精進は、美容にもいいとか。

大変おいしかったです。ごちそうさまでした。

2014年12月5日(金)豊前市 吉木 圓光寺さまにて

追記:2018年1月8日

たいていのお寺にはこういった受付があり、こちらでお斎料を収めると、席につくことができます。

席に着いたときには上のような形でお椀が並んでおり、婦人会の方が席についたことを確認するとお椀を下げ盛り付けて来てくださいます。

俵型のおから。おいしいです。

おみやげに「まるぼうろ」というお菓子を用意しているお寺も多いです。

 

2014年12月11日(木)豊前市 尻高 覺圓寺さまにて

追記:2018年1月8日

食前のことば、食後のことばが分かりやすく掲示されています。これらを食事の時に申すのは真宗門徒のたしなみのひとつです。

お斎で特徴がでるのが、汁物。基本的に酒かすが入っているようですが、その量により白く見えるものと、お味噌汁の色になるものがあります。

かわいらしい食前食後のポップと、オリジナルのおせんべいがおみやげになっていました。これは家庭で使いたいですね。

 

12月13日(土)豊前市 鳥井畑 宝寿寺さまにて

12月22日(月)豊前市、山内の明泉寺さまにて


旗が立っていました。


「ごじる」という、大豆をすり潰したものを入れているお味噌汁がありました。
底にたまった、大豆の食感がたまらない!


前坊守さんが「豊前のお寺で一番見晴らしが良いのよ」とおっしゃっていました。

追記:2018年1月8日

2017年12月2日 舟入 選佛寺さま

御正忌報恩講では幕を張っていつもとは違う飾り付けをします。

ほかほかのごはんとかす汁。

おからも各お寺で少しずつお味が違います。

昆布のたいたものもありました。

みんなでにこやかに食事をします。

まとめ

さて、いかがだったでしょうか?

ここらあたりの『御正忌報恩講・お斎グルメ本』が作れそうなくらいにお斎の席につかせていただいているぼくですが、やっぱりお斎は最高です!

お寺で歴史と脈々と受け継がれてきた文化を感じながら、いただくお食事はきっとあなたにとって特別な思い出になるはずです。

ぜひ、みなさんもお斎体験をして欲しいと思いますし、それがご縁になってお寺の法要も体験をしていただければ嬉しい限りです。

それでは!お寺でお会いしましょう。

関連リンク

・OTERA LIFE.web内記事↓

・西本願寺 新・食事のことば解説↓

僧侶&ローカルWebメディア「ぶぜんらいふ。」編集長(http://buzen-life.com/) お寺と地域の活性を目指して日々奮闘中です。夢は豊前を仏教王国にすること。そのために、お寺を中心としたコミュニティ「お寺まちづくり」を推進中です!

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