名人レシピ・内藤さんのおいしいゆず茶。伝えるためのレシピ企画

こんにちは!おてライターのHIDEさんです。

お寺を楽しくする情報を発信しています。

今回は少し変わって「あるレシピ」を紹介したいと思います。

 

まずは、「なぜ、お坊さんがレシピの紹介を?」というというところからお話ししたいと思いますね。

目次

どうしてレシピを紹介しようと思ったの?

理由は大きく2つ。

 

1つ目は、「ベテランお母さんたちのおいしいものを紹介したい」からです。

 

ぼくたち僧侶は月命日のお参りに行くと、色んなものをいただいて帰ります。

お茶菓子、お仏壇にお供えされていた果物やお菓子、そして、自分の畑で育てた野菜。

農家さんが多い地域は農作物。海に近いところは海産物と、それぞれ旬のものをいただいたりします。

基本的にご門徒さん方はぼくたちに食べて欲しいと思って、渡して下さるのですが、お布施と同じく、一旦は仏様へのお供えものとして、預かって帰ります。

あまりに多い場合は近隣におすそ分けをしたりすることもありますが、だいたいは持ち帰って、お寺の人間がおいしくいただいています。

ほんとうに、いつもありがとうございます。

 

その中でご門徒さん自身が調理されたものを持って帰ることもあります。(たいていはベテランのお母さんたちが作ったもの)

例えばお饅頭などのお菓子や、お赤飯、お漬物などなど。

今の時期だったら、晩白柚の皮の砂糖菓子なんかもあります。

 

そしてそのどれもが、お世辞抜きでおいしいんです。

考えてみたらベテランの主婦たち。

その方たちが自信をもってお渡しくださるわけですから、おいしくないはずがありません!

ぼくは食べるのが好きなので、ご門徒さんとも色々と食べ物の話をするのですが、「この間下さったアレ、おいしかったですよ。」とお話しすると、たいそう喜んでくださり、また「○○あげようか?」ということになったりもします。

 

最近そのことについて考えていたのですが、「これって、とてもありがたいことだけれど、ぼくたちだけが、いい思いして申し訳ないなぁ。」という思いと、「こんなに素晴らしいお母さんたちがいらっしゃるということを多くの人に知って欲しい!」という気持ちが沸き起こってきました。

これが、レシピを紹介したい1つ目の理由です。

 

 

レシピを紹介したい理由の2つ目は、「レシピがどんどん失われていく」からです。

 

ぼくの出身である、滋賀県草津。

「はま」という名物喫茶店がありました。

くるくると巻いたカラフルなパンの間に具が入れた、少し酸味のあるソースを使った珍しいサンドイッチ。

コンビーフを使ったカレーやパスタ。今のように週休二日でなかった土曜日に一旦家に帰って、母親や兄弟と食べに行ったりした思い出の店。ほんと、おいしかった。

でも、もう食べられません。

なぜなら、お店がなくなってしまったから。

 

またもう一店。

「七福」といううどん屋がありました。

コシのある細麺で、古民家風の店内に流れる琴のBGM。

「ころうどん」という、透明のボウルのようなお皿に生卵や色んな具が入ったぶっかけうどん。木のさじでだしをすくいながら食べるのが好きでした。

でも、もう食べられません。

ずいぶん前に、お店がなくなってしまったから。

 

そのほかにも、こんなことがありました。

こちらは豊前のはなしですが、近くにあったお肉屋さん。

クリスマスの時だけに出る「若鳥の骨付きモモの唐揚げ」

これがおいしいと家族から聞いていたぼくは、豊前に来て1年目の冬に食べて、その味の虜になりました。

しかし、次の冬。その唐揚げが、もう販売できないというのです。

理由は、「唐揚げを揚げていたおばあさんがやめてしまったから」という理由でした。

たったそれだけの理由で!とも思いましたが、おばあさんにしか分からないコツがあって、再現するのが難しかったりするのでしょう。

クリスマスにお寺で涙したことでした。

 

また、住職や坊守がいいます。

「○○さんところのお漬物。あれはとってもおいしかった!」

○○さんが自ら漬けたお漬物を御正忌に届けてくださって、それをお斎の時に出していたそうで、お斎につかれていたご門徒さんからも大変好評だったそう。お漬物の話題になると、「おいしかったねぇ」と、いまだに思い出される方もおられるくらいです。

こちらは口にすることができませんでしたが、聞くだけでおいしかったことがわかりました。

 

いろんなレシピと、いろんな料理がありました。

 

もう一度食べたい。一度でいいから食べたかった。

しかし、願ってもそれはもうかないません。

お店や個人のレシピが伝わっていないからです。

 

あの名人のあの味がもう食べられない。

これほど悲しいことはありません。

どうして、このことがさびしく悲しいのかと考えると、レシピやそれをもとに作られた料理にはその人があらわれるからではないでしょうか?

 

おふくろの味というのはその代表格と言えるでしょう。

時たま、子どものころ母に作ってもらった料理の味を思い出すことがあります。(母はまだ元気ですが)それがそのうち食べられなくなると思うと寂しい気持ちになります。

 

…だからなのです。

レシピがあればたとえ会えなくなっても、その人を感じることができるのではと思うのです。

そして、そう思うのはぼくだけじゃないはずです。

だから、レシピを残したい。伝えたいと思ったのです。

これが、レシピを紹介したい2つ目の理由です。

 

たかがレシピ、されどレシピ。

 

そんな理由で、ぼくは関係のある人たちのレシピや作っておられるものを残していきたいと思っています。

 

あなたの心に残るレシピはありますか?

内藤さんのゆず茶

前置きが長くなってしまいましたが、今回ご紹介したいのは、『内藤さんのゆず茶』です。

毎年、寒くなる時期にお参りに行くと下さるのですが、そのゆず茶はとってもおいしく、ぼくも家族も楽しみにしています。

親しい周りの人にも作って配っておられるそうで、その中の一人は「これを食べたら、他のゆず茶は食べれんね」とおっしゃってくださるとか。

嬉しそうにお話くださいました。

 

さっそく、レシピへと行きたいところですが、知らない方のために、まずは「ゆず茶」の飲み方をご紹介しますね。

ゆず茶のいただき方

こちらが、いただいたものの実物です。

「ゆず茶」というのは「茶」がついているので、お茶っ葉の仲間かと思われるかもしれませんが、そうではありません。

ゆずを漬けた甘いシロップ状のものに、お湯を注いでお茶のようにして飲むものを「ゆず茶」といいます。

この場合の「茶」とは、昆布茶や梅茶など、お湯を注いで飲むものの総称とみていいでしょう。

内藤さんのゆず茶の原料は、柚子と角砂糖のみ。とってもシンプルです。

まずは瓶の中に入ったゆず茶をスプーンで取り出します。皮と果肉が入っているのでバランス良く取り出していくのがコツです。

ゆず茶をカップに入れて、お湯を注ぎます。お湯を注ぎすぎると薄くなってしまうので、様子をみながら混ぜていきます。

おすすめは、コーヒーカップや紅茶のカップに入れて。少し上品な感じで楽しめますよ。

できあがったら、柚子のかおりと、果肉の酸味とシロップの甘さを同時に楽しみながら、いただきます。

子どもたちも好んでいただきます。

 

こちらのゆず茶は皮の薄切りと、果肉が袋のまま入っているのがおいしいポイント。

香り豊かで、かつ柚子の果肉を食べることができるので、二度おいしいものに仕上がっています。

 

さて、お待たせしました。

ここからはレシピの紹介です。

内藤さんのレシピ

※新聞記事に載っていたレシピを取り入れたそうです。

●材料

・柚子 500グラム

・氷砂糖 500グラム

※柚子と氷砂糖が1:1であれば、量が増減してもできるようです。気持ち柚子多めのほうが溶けやすいのだそうですよ。

・蓋つきのビン(800~1000mlのガラス容器)

 

注)見せていただいた新聞記事をもとにしていますが、内藤さんから聞いたポイントは太字にしています。

①柚子を流水できれいに洗い、水気を切る。

②柚子の皮を丁寧にむき、実と分ける。ピーラーでむくと薄く仕上がります。

③実と皮の白い部分やスジを取り除く。果肉と皮の間の白い部分は苦みになるそうです。

④房の中の種を取り、一房ずつに分けます。(柚子は種が多いので、実を半分に切ると簡単)

⑤種を取った実をボウルに入れておく。

⑥柚子の皮を短冊切りにする。

⑦刻んだ皮と一房ずつにした実をボウルに入れて混ぜる。

⑧柚子と氷砂糖を3分の1ずつ交互に、それぞれが層になるように容器にいれる。

⑨蓋をしっかり閉める

⑩作ってから3~4日目までは、氷砂糖を早く溶かすため、1日1回、保存容器を軽くゆすります。内藤さんは蓋を開けて混ぜておられるようです。

⑪冷暗所に約一週間ほど置いて、出来上がり。氷砂糖が溶ければOKだということです。

 

まったく水は入れずに、柚子の果汁だけで、とろとろのシロップになっていきますよ。

寒い季節にぴったりな『内藤さんのゆず茶』ぜひ、お試しあれ!

 

今後も、レシピシリーズとして名人さんたちのレシピを紹介していければと思いますので、よろしくお願いいたします。

 

 

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