年間最大の法要!賢明寺御正忌報恩講2018(H30)レポート~準備編~

こんにちは!おてライターのHIDEさんです。

今回から2回に渡って、先日無事終了した御正忌報恩講の様子をお送りしたいと思います。

 

まずは準備編です。どうぞ!

目次

御正忌報恩講とは?

御正忌報恩講とは浄土真宗の開祖、親鸞聖人のご命日のご法要のことで、浄土真宗の寺院で年間最大の法要になります。

簡単に言うと、「親鸞聖人の法事」で、阿弥陀如来のみ教えを伝えてくださった親鸞聖人のご恩に感謝し、改めて阿弥陀様のお救いを聞かせていただく法要です。

豊前地区ではご本山(京都の西本願寺)に合わせ、1月に法要が勤められることが多かったようですが、今では11月~2月ごろに勤められることも多くなってきました。(全国的には10月も多いようです。)

 

豊前周辺では元々、1月9日~16日の一週間に渡って御正忌報恩講をつとめていました。(現在でもその日程でつとめているお寺もあります。)

 

どうして、この日程かというと、浄土真宗本願寺派(西本願寺)では1月16日を親鸞聖人のご命日と定めているからです。

親鸞聖人の、ご法事は数日間にわたって勤められるんですね。

ただ、日程や期間、内容に関しては地域差が大きく、地方寺院が1月9日~16日に合わせて法要を行う以外は「お取り越し」と言われ、1月16日以前にあらかじめ取り越して事前に勤めるつとめるものとして位置づけられています。

賢明寺では本番が1月25日からなので、16日は過ぎていますが、次の1月16日に向けたとても早いお取り越しと言っていいでしょう。

(現実的には、1月16日の周辺でお勤めするという感覚ですが。)

 

さて、この御正忌報恩講。

浄土真宗で年間最大の法要と言いましたが、規模もさることながら、準備もなかなか大変なのです。

ここからはその様子を見てまいりましょう。

1日目:1月22日

賢明寺では時代を経るにつれ、開催期間が7日間から少し短くなってきています。

現在は、本番が4日間ですが、準備にも3日間かかるので、計7日間御正忌報恩講期間になります。

つまり、昔は1週間以上の期間で御正忌報恩講を行っていたのですから、いかに大事にされてきたことが分かります。

まず、準備の初日ですが、次のような内容があります。

 

●1月22日

・仏具みがき

・幕張り

・竹串づくり&記念品づくり

・お餅つき・餅切り

・同時進行で仏華たて

初日はやることがたくさん。

これだけでは何が何か分かりませんので、画像付きで説明していきましょう。

仏具みがき

一番初めのご紹介は、「仏具みがき」です。

本堂の内陣と呼ばれる場所に日常的に置かれてある仏具。

賢明寺では一年間に一度仏具をバラバラにして汚れを取っていきます。

汚れていないように見えても、ろうそくのすすや線香の煙、また自然に酸化?するようです。

今回は友人たちに手伝っていただきましたが、「仏具ってばらせるんですね」とびっくりしていました。

準備の前日に仏具をバラして並べておきます。いつもはテキトーにおいておくのですが、今回はインスタ映えを狙って、綺麗にならべてみました。まるでプラモデルみたいです。

パーツも数えてみたのですが、なんと全部で133パーツ!!

ちなみに、仏具をみがく(洗う)手順としては、

①並べてある仏具を専用の液につけ、軽くこする。

②水でゆすぐ。

③タオルで拭き上げる。

④並べて乾燥

と、なります。

昔は歯磨き粉みたいなのを付けてタオルや歯ブラシでゴシゴシとしていたのですが、それだと白いカスが残ったりしていました。

液体の洗浄剤が出たのでずいぶん楽になりました。

洗浄剤を溶かした液につけて軽くこすります。

こんなに、ピカピカになりました!

乾くまで新聞紙の上に置いておきます。

幕張り

「幕張り」とは、山門や本堂の入り口、庫裏の入り口(くり・お寺の寺務所や住居部分)などに境内に幕を張っていくことです。

これをすることにより、外から見ても普段のお寺とは違うことがすぐにわかりますし、御正忌らしさが出てきます。

幕は小さいものから、大きいものまであり、一番大きい本堂正面のものは協力してやっていかないと上手くできません。幕は男性陣の担当になっています。

竹串づくり&記念品づくり

こちらは懇志を供えてくださった方にお渡しする記念品です。

お菓子と年間の法座予定、そして定番のマッチです。お仏壇の蝋燭に火を灯す方法としてはライターやチャッカマンなどもありますが、気温などに左右されず、1年中安定しているのがマッチです。

マッチはお仏壇とベストマッチだと思います。(マッチだけに…)

これをセットにしてゴムでまとめておきます。

また、こちらの細い木は、準備2日目に使用する竹串です。

この竹串に小さいお餅を指していきます。

先が丸まっていると指しにくいので、小刀やカッターでとがらせておきます。

餅つき&餅切

さて、ここからは餅つき&餅切です。

準備の中で最も大変なパートだと言っていいでしょう。

ここで出来上がったお餅は本堂の阿弥陀様や親鸞様ににお供えされることになります。

餅つきは機械で行っているので、大したことはないのですが、餅を切っていくのがものすごく大変で、時間と体力が必要です。

蒸して機械でついたお餅を棒で伸ばしていきます。難しいのが厚さを均等にしないといけないところです。

ここがきっちりできているかで、お供えの美しさがきまります。仕上がりに影響してくるので、大事な工程なんですね。

この作業だけのプロフェッショナルを作ってもいいくらいです。

伸ばし終わったら、専用の型抜きでミニサイズのお餅を抜いていきます。

いくつも型抜きをしていくと、手が痛くなるので軍手をしていますが、それでも後半は手が疲れます。

板状のお餅は相当な数のお餅を型抜きするので、穴だらけになっていきます。

この作業を10回弱繰り返します。

型抜きしたお餅は並べて一日、乾燥させます。

このミニお餅を先ほど削っていただいた竹串にさしていくのですが、ついた当日は串にはさしません。

というか、刺せません。なぜなら、お餅が柔らかすぎるからです。

一日おいてちょうどいい硬さになったお餅をさしていくのです。

お華たて

お磨きや幕張り、お餅切りと同時に行われているのが、「お華(はな)たて」です。

いわゆる「生け花」ですが、仏さまにお供えするものを「仏華」(ぶっか)といいます。

今回は御正忌報恩講ということで、特別バージョンの仏華になっています。

こちらはプロの方に来ていただいて制作していただいています。

一日では終わらないので、2日がかりでのお仕事になります。

詳しくはこちら→

ぶぜんらいふ記事 リンク

 

[blogcard url=”http://buzen-life.com/archives/1672″]

お昼ご飯

朝から始まった作業が昼過ぎごろに完了します。

お昼ご飯に、つきたてのお餅と担当地区の婦人会のみなさんが作ってくださったものをみんなでいただきます。

台所では食事の準備。

お餅をきな粉もちにします。

こちらは、型抜きをしたお餅の余りを混ぜ込んで作っているのもあるので、少し違った味わいになりますよ。

みんなが揃ったところで、(葬儀で不在の住職の代理で)役員さん、担当地区のみなさん、お手伝いいただいた方々にお礼と頑張っていきましょう、ということをお伝えさせていただきました。

準備でおなかぺこぺこだったので、「合掌、み仏とみなさまのおかげにより、このごちそうを恵まれました。深くご恩喜びありがたく、いただきます!」という食前の言葉をとなえた後、夢中で食べてしまいました。

おいしいお餅とごはんを食べながらほっと一息つける時間です。

お斎の準備

片付けが終わり、役員さんたちが帰った後、担当地区の婦人会が残り、お斎のお椀を綺麗に拭きあげ、26日からのお斎に備えておきます。

 

以上で、一日目が終了します。

2日目:1月23日

2日目の内容は次の通り。

●23日

・お餅串盛り

・仏具組み立て

・引き続き、仏華

お餅串盛り

一日目にぐりぐりと型抜きして作ったミニお餅を竹串に刺していき、それを束上にまとめ、仏さまのお供えにします。

この「お串盛り」一時はプラスチックの簡易的なものでしていましたが、やり方が分かる人がいる間に伝統的な方法を教えてもらおうと、復活させました。

何百個とミニお餅が使用されるお串盛りを美しく仕上げるには根気と丁寧さが必要です。

また、1日目の餅切で少し説明しましたが、このお串盛りの工程だけでなく、餅のばし、餅切、と全ての工程でベストのものを作り、この串盛りの段階に持っていくことが美しく仕上げるコツです。

ただ、担当地区が3年に一度という間隔が空くことと、全工程を把握している人が少ないので、そのあたりを意識されている方は少ないように思います。この串盛りは今後の課題ですね。

仏具組み立て

上の写真のように、1日目にピカピカになった仏具ですが、乾燥が終わると組み立てていきます。

しかしながら、この仏具。組み立ての説明書がないんです。

つまり、超、難関パズルです。

 

なので、もともとの姿を写メしたり、最初のころは経験のある住職に教えてもらいながら組み立てていきました。その時に教えてもらった、同じような形の仏具をどこのものかを見分ける方法として、おもしろかったのが、「〇〇さんが懇志してくれたので、ここに名前が入ってるんよ。だから、それは真ん中」というもの。毎年やって、今では一人でもできるようになりました。

また関心したのは、最終的には部品同士があるべきところに収まっていくこと。

見分けるのに時間はかかりますが、同じように見えても、しっかりあるべきところにはまるんですよね。昔の職人さんの丁寧な仕事なのかなと思います。そんな時代の重みも感じながら(実際にとても重いのもあります)するのが仏具の組み立てです。

 

また今回は初めて友人たちに入ってもらい一緒に仏具を組み立てていきました。

仏具の扱い方やお内陣の様子を間近で見てもらえるので、これも大事なことだと自分自身、感じました。

3日目:1月24日

 

●24日

・お掃除

この日のお掃除は担当地区も含めた全地区の仏教婦人会のみなさんがおこないます。

前日とあって、隅々まできれいにしていきます。

毎年、寒い中ありがとうございます。

 

いよいよ、本番に入っていきますよ。

準備編・まとめ

さて、準備編いかがだったでしょうか?

一年に一度の御正忌報恩講ですが、準備の様子からこの法要が大事にされてきた歴史というものを感じてもらえたのではないかと思います。

お寺の人間だけではこの準備はままなりません。多くの方のおかげでお寺の法要は成り立っていますし、地域の方やご門徒と一丸となって、親鸞聖人のご命日の法要の準備をしていくというところに、伝統的なものを守っていく美しさを感じます。

しかしながら、これから先、人口も減る中でこのスタイルがいつまで続けられるか分かりません。

時代に合わせ変わっていく必要はあると思いますが、良きものは残すという方向性も大事にしていくべきです。

 

また、このブログという形で気軽に見ることのできる形で記録していくことも重要なことだと思っています。

この記事をみてお寺の伝統的な法要に少しでも興味を持ってもらえればうれしい限りです。

来年はあなたもお手伝いに来ませんか?

 

※次回は御正忌報恩講、本番編です!

 

 

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