これから少し寒くなって、雰囲気がよくなるいい季節。
「お寺でコンサートを企画したいと思っているんだけど…
でも、自主企画は大変だよね。」
「コンサートは音の問題が気になります。」
そんな、悩みをお持ちの方、多いと思います。
こんにちは!僧侶&おてライターのHIDEです。お寺の情報を楽しく発信しています!
「お寺でコンサート」「お寺でライブ」を開催したいと思っても、情報が少ない!
ネット上には「開催します!」という案内や「開催しました!」という報告はあるけれど、
もっと詳しい裏方の情報はほぼない。
そんな情報があればいいのにな。と、常々思っていました。
そんなことを思って数年、ネット上にはいまだに上がってきません。
「ならば、自分から発信しよう!」
と、思い立ったのが今回の記事です。
今回は自坊の賢明寺で行われた李政美さんのコンサートの模様と、そこに至るまでを書いてみたいと思いますが、
その中で、上のような悩みをお持ちの方にアプローチできればと考えております。
これから、お寺でのコンサートを計画されている方は参考にされてくださいね。
開催に至るまで
開催日本番は、10月24日。
その一ヵ月ほど前。
9月半ばごろ、豊前の市民グループ『circle ねこの手』さんの代表を務める奥さんとその旦那さん(Sさん夫婦)が、が訪ねてこられました。
このグループはクラシックのコンサートを主催したりと、精力的に活動なさっているグループです。
「李政美さんのコンサートの会場を探しているのですが…」どうやら、事前にめぼしを付けていた会場がダメだったようで、お寺に訪ねてこられました。
ご夫婦は花まつりを手伝っていただいたり、大晦日の除夜の鐘つきに来てくださったこともある、普段から仲良くさせていただいている方です。
「ご恩のある方たちが困っている!」それならばと、すぐにお受けさせていただきました。
ぼくもちょうどお寺で本格的なコンサートができたらいいなと思っていた時期だったので、「なんて、タイミングだ!」と心の中で思っていたのは内緒です。
こぼれ話
こういう時に、ぼくは「すぐさま受けたい!」と思ってしまうのですが、やはり、家族の承認は必要です。
下手をすると後からもめることになるので。
今回は「すぐに」と書いていますが、実は、お話を聞いていた部屋でSさん夫婦をお待たせして、
居間にいる家族(住職・坊守・若坊守)の元へ話を持って行き、スケジュールを見ながら、少しの時間家族会議が開かれました。
正直、「早く返事したいな」と思いましたが、お掃除や準備などで家族も関わることになるので、ここは大事だと思います。
少しお待たせすることになってしまいましたが、家族の了承を得られたので、話を進めることにしました。
(家族をチームにするというのもぼくのテーマなので、そのうち言及できたらと思います。)
主催でなくても広報は自主的に!
今回のコンサートは『ねこの手』さんが主催で、賢明寺は会場貸しということになりました。
広報は『ねこの手』さんにチラシとポスターを作っていただき、賢明寺とねこの手さんで同時に広報をすることになりました。
ここで、注意が必要なことがあります。
今回、賢明寺が主催ではありません。
けれど、会場は賢明寺だということです。
この主催がどうのこうのというのは、スタッフ側では重要ですが、周りの人からすると、ほとんど意味を持たないので、たいていの場合、近隣の方は賢明寺が行っているのですから、賢明寺が主催で行っているイベントだと見られます。
ですので、「あんたんとこで、しよるのに他人事やね」とか言われないように、自主的に動いて、広報していくことが大切になっていきます。
ただ、ぼくは単純にコンサートをしていただけることが、嬉しかったので、あんまり難しく考えず、広報をしていきました。
具体的な広報手段としては、お寺と、個人のFacebookでも宣伝し、お参りの時にチラシを持って、一軒ずつおすすめしていきました。
ちなみに、今回のコンサートは有料で、大人前売り2000円、当日2500円、小中高生1000円という価格設定です。こちらはねこの手さんにお任せしました。
結果的に、お寺と、ねこの手さんを合わせて、前売り時点で70名を超える人数になりました。
内訳としては、賢明寺のご門徒が10名とすこし、後は初めて賢明寺にお越しになる方が多かったと思います。
そんなこんなで、当日を迎えます。
協力して当日準備
前日に機材を搬入していただき、当日はねこの手さんと共同で準備を進めました。
コンサートは18時半開演で、リハーサルが16時からの予定でした。逆算して13時ごろから準備を開始しました。
このあたりのスケジューリングはノウハウのある、ねこの手さんにしていただいています。
この時点で80名弱が来場の予定でしたので、演台や黒板をよけて、たくさんの椅子を出しました。
初めて数えたけれど、写真に写っている椅子は72脚もありました!(別の背の低い椅子がもう少しある。)
会場準備では、入ってはいけないところや、注意すべき点がたくさんあるので、お寺の人間が一緒についていた方がいいと思います。
音響のセッティング
花まつりでの『おてライブ』でもお世話になっているSさんが手際よく進めて下さいました。
実質、この方がいるから賢明寺では『おてライブ』ができています。ありがとうございます!
音響のセッティングが終わると、李政美さん一行も到着され、すぐにリハーサル。
現在、九州ツアーの真っただ中で、糸島(福岡)、水俣(熊本)、杵築(大分)に続いて、4か所目が豊前でした。今日を終えると博多の方へ行かれるそうです。
こういうバックステージやリハーサルを見ることができるのも嬉しいですね。
控室(楽屋)は庫裡の仏間を使っていただきました。ねこの手さんから、数名の方が接待につかれていました。

セッティングとリハーサルが終わった本堂。
開場予定は18:00でしたが…
18時から開場だったのですが、17時半ごろからお見えになる方もおられましたので、そのあたりはきっちりせずに、ゆるっと開場。
早く来られていた方は、本堂内でお待ちいただきました。
開演時間前には満堂になり、前売り券・当日券を合わせると、およそ80名近くの人にお越しいただきました。
(法要にこれくらい来て欲しい!!)
18:30 開演!
はじめに、住職の挨拶と短いお話。
今回は「共同心」(ぐどうしん・正信偈より)について、3分ほど。
ちなみに、共同心とは、すべての人びとが心を一つにするということで、後のコンサートにつながるお話しでした。
賢明寺主催なら、法話の時間もたっぷり?とってもいいかもしれませんね。
オープニングアクトにはハワイ出身のキャッシュ!
前座として、今年の花まつりでお世話になった、キャッシュ・ヘルマンさんの登場です。
日本語で自己紹介して、カバーとオリジナルを一曲ずつ披露。
やっぱり、英語上手いし(当たり前)そのうちジャック・ジョンソンをリクエストしたいと思います。
記事リンク『自分らしく生きたいならこれを読め。海と音楽とジャック・ジョンソン』
ほんといい声。
2曲だけだったので、あっという間で、まだまだ聞いていたかったです。
[su_youtube url=”https://youtu.be/h78rS5t2omg”]
メインアクト、李政美さん登場!!
大きな拍手に迎えられ、李政美さんの登場です。
今回はボーカルに李政美さん、ピアノに竹田裕美子さん、ギターに矢野敏広さんというトリオ編成でした。
サポートの方々も有名ミュージシャンのバックで活躍されている方なんですよ。
さすが、プロの演奏。
竹田さんはピアノやアコーディオン、矢野さんはギターやマンドリン。李政美さんもギターを演奏されていました。
長い期間一緒に演奏されているようで、息もぴったりでした。
コンサートの様子
[su_youtube url=”https://www.youtube.com/embed/6f7vJnXhN9s”]
とても迫力のある、艶やかで伸びの良い声。
内容もしっとり聞かせる場面や、ノリのいい曲と、飽きさせません。
間に自身のルーツやくすっと笑えるようなMCをはさみながら、進んでいきます。
お客さんも手拍子をしたり、歌を李政美(いじょんみ)さんに教えていただきながら、日本語や韓国語で一緒に歌ったり、みんな楽しそうにしておられました。
また、新曲の披露もあったり、与謝野晶子の詩を歌にされたりしましたよ。
中でも、浄土真宗の門徒である、金子みすゞの「みんな違ってみんないい」で有名な『私と小鳥と鈴と』を歌ってくださったのは嬉しかったですね。
しかも、手話付きで、会場が一体になったようでした。
まさに、住職の話にあった共同心(ぐどうしん)!
[su_youtube url=”https://www.youtube.com/embed/8w6c_ff5Ctk”]
照明にもこだわる
賢明寺本堂の照明は白色蛍光灯でいつも冷たい感じがするなぁ、と感じていたのですが今回は、これまたSさんに、正面左右から二本電球色のあたたかい光を当てていただきました。
本堂外陣の照明はステージから離れた部分のみ消し、真ん中だけ、明るくするようにしました。
内陣側は法要の時と同じように、全ての灯りを付けました。(最終的には、「これで行きましょう」という、アーティストさん判断でした。)
これによって、アーティストさんたちの雰囲気もよくなるし、後ろから見ていると、仏具がきれいに映りました。
普段の光景から変化して「ほー!」と思ってしまいました。
照明は大事ですので、お寺によって工夫されるといいかもしれません。今後は通常時の照明の交換も検討していきたいですね。
最後の方は民族楽器の太鼓も登場!
チャングという太鼓だそうで、少し高い音程で、大きな音がなります。この太鼓に合わせての歌唱はとても迫力がありました。
プレゼントは地元のもの
コンサートのラスト、賢明寺のすぐ近所にある、浦野醤油醸造元の『にじいろ甘酒』を猫の手さんから、プレゼントです。
やはりここは、地元をアピールですね!
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最後に「お礼に。」と一曲、演奏してくださり、コンサートの終了となりました。
終演後にはCDにサイン
終演後の販売&サイン会。
コンサートやライブによく行く人には定番だと分かっているのですが、お誘いしたのが年配の方が多かったので、買いたい方がお金を持ってきているかと、少し不安になりました。
ご門徒さん方が購入されたかはバタバタしていて、確認できませんでしたが、来場された方は購入され、サインをしてもらっていたようです。
慣れていらっしゃらない方には事前に案内したほうがいいのかもしれません。
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出演者&スタッフのみなさまお疲れさまでした!
お客さんが帰った後、片付けをして、原状復帰。
最後に写真をパチリ!
全ての作業が終わった後、近くの公民館で打ち上げに招待していただきました。(時間が押したので、30分だけでしたが…。)
打ち上げでは、ぼくもアコースティックギターをやっているので、ギターの矢野さんとお話しできたのは楽しかったです!
以上、コンサートをするに至った経緯と、準備、当日の様子でした!
後日、ねこの手さんが、御礼に来てくださった際に、
「この本堂でできてとてもよかった!」
と李政美さんがおっしゃってくださったとお聞きしました。こちらこそ、素敵な演奏をありがとうございました!
まとめ
今回は、打ち合わせの際に気になるところを確認できていたので、スムーズに開催することができました。
初めて賢明寺にお見えの70名近くの方々にも本堂に上がっていただくことができ、お寺としての成果になったのではと思います。
賢明寺を会場にと、声を掛けていただきました、Sさんご夫婦、『circle ねこの手』さん、そして、李政美さんご一行様、ありがとうございました!
今後とも、よろしくお願いいたします!
以下に気づいたことをまとめておきます。
音の問題
楽器やマイクはアンプを通すので、多少は外への音漏れがあります。
賢明寺は境内のすぐ横に住宅があるので、そのあたりも気にしながら、打ち合わせで確認し、事前に『ねこの手』さんが周辺住民にあいさつに行っていただきました。
当日もリハーサルの時に、音漏れ、大きさなどを外に出て確認し、これくらいなら大丈夫ということを判断しました。
また、夜の開催でしたので、終演時間の目標を決めていました。(今回は20:15分設定でした。)
この部分は住職も気にしていたようです。
それというのも、以前にお寺の研修でフォークグループを招いた際に、
アコースティックであっても音が大きかったことがあったそうで、何人もの高齢の方が「キツイ!」と言って、外に出て行かれる状況だったそうです。
この時はおそらく大きなホールだったので、客席の場所によっては大きすぎるということがあるのかなと思うのですが、
お寺にお参りの方は大きな音に慣れていませんし、外にも迷惑が掛かるといけないので、
音響の方や、アーティストさんたちと事前に話をつめておいた方がいいと思います。
主催かどうか
賢明寺では「花まつり」の際は主催でしているのですが、その時は、広報や、必要備品の購入、当日の司会、法要、段取りなど、全て取り仕切るのがけっこう大変です。
しかし、今回はねこの手さんが主催ということで、比較的に気が楽でしたが、すべて任せて何もしないというのは難しいと思います。…というか、実際できません。
フリースペースとしての貸し出し営業を目的としているわけではありませんので、本堂を会場としていただく場合も、お寺側もできることはさせていただくという心づもりが大事かと思います。
また、基本的には伝道の場であるので、境内や本堂を大切に扱ってくださるように、コミュニケーションをとることや、
(初めての方なら、どういう場所か伝えることが、そのまま伝道になります。)
主催団体や開催に関わる個人が顔なじみであるならば、普段のお付き合いや、お互いの信頼関係も大切なことだと思います。
子どもの入場
打ち合わせの時に悩んだ問題です。
今回のコンサートはしっとり聞かせる感じの曲も多いため、子どもたち(主に幼児)を制限しようか、どうしようかということがありました。
託児も部屋の問題やスタッフの人数がいないため、難しいとの結論でした。
結局、制限はしなかったのですが、平日の夜ということもあり、子どもの参加は、うちの子を除いてありませんでした。
うちの子は普段やんちゃなのですが、しっかりと歌を聞いていたのは、驚きでした。
こういう形で小さいうちに生の音楽に触れてくれたのは嬉しかったですね。
もしこれから計画されている方、
ぜひ、参考にされてください!
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僧侶&ローカルWebメディア「ぶぜんらいふ。」編集長(http://buzen-life.com/) お寺と地域の活性を目指して日々奮闘中です。夢は豊前を仏教王国にすること。そのために、お寺を中心としたコミュニティ「お寺まちづくり」を推進中です!