登場人物
ひでさん
浄土真宗本願寺派・賢明寺の副住職
ブログでお寺をたのしくする情報を発信している。
ひでさんのむすめ・Sちゃん
元気な小学生の女の子
将来の夢は「坊守さんになること」
LINE会話風WEB仏事講座①・合掌礼拝 イントロダクション
ある日のお寺でのこと…
はぁ、困った…。
ん?どうした?
今日、学校で友達に「お参りのやり方を教えてあげる」って、約束をしちゃったんだけど、ホントはどうしたらいいかわからなくて…。
「仏事作法」のことだね。そっか。それなら、お父さんが教えてあげようか?
え?ほんと?やったー!(助かった…。)
お父さんにまかせておきなさい!
それじゃあ、お父さん先生よろしくお願いします!
OK!さあ、浄土真宗本願寺派(西本願寺)の作法講座をはじめようか。
お念珠とは
お寺参りやお仏壇などで必ず必要となるのがお念珠です。
▼お念珠とは?
木の実や宝石・金属などの珠をひもで通して輪にしたもので、仏・菩薩を礼拝するときに手にかける法具。浄土真宗本願寺派 法式規範(改訂版) p278
お念珠(おねんじゅ)とお数珠(おじゅず)ってどう違うの?
念仏をするときに手で繰りながら回数を数えるのに使ったから、「数珠(珠数)」と呼ばれているんだ。だけど、念仏の回数の多少を問題にしない浄土真宗では、数珠ではなく、「念珠」(ねんじゅ)と呼ぶんだよ。宗派による違いっていってもいいね。
お念珠の珠の数
正式には「百八つの煩悩」の珠数とされますが、販売されているものは材料の大きさによってその数が決められているので、約数(五十四、二十七)を用いたもの、それ以外のものもあります。
珠(たま)の数にこだわる必要はないよ。
・浄土真宗では両手で念珠をかけます。
・念珠の珠をすり合わせることはしません。
正座時などの念珠の持ち方
合掌しない時は念珠を左手に持ちます。
正座などの座った姿勢の場合、念珠を持った左手が上、右手が下になるように重ねて、ふとももの上に両手を置きます。
手首に通して持つことはしません。
立っている時はこのようにして左手に持ちます。
お念珠の扱い方
念珠は大切な法具だから、人が歩く床や畳の上に直接置いたりせず、敷物の上に置くようにしようね。
▼本願寺第8代蓮如上人のお手紙(御文章二帖目・第五通)
本願寺の第8代蓮如上人は「お念珠を持たずに礼拝することは、阿弥陀様を手づかみにするようなものです」と言われたそうだよ。
それは、煩悩にまみれている私たちをそのまま救おうとはたらいてくださる阿弥陀さまへの報恩感謝の気持ちを、お念珠を持って合掌した姿であらわしましょうとおすすめくださっているんだよ。
引用:プトラハンドブック~子どものための浄土真宗入門書~
そっかぁ。お念珠はいつも持つようにするね。
合掌・礼拝の仕方
念珠のかけ方
お念珠をかけるときは、写真のように両手の人差し指と親指の間にけかます。
房は自然に下にたれるようにして、指はそろえて伸ばします。
その形ができれば、次は合掌礼拝です。
合掌礼拝の手順
①合掌した両手を胸の前で合わせます。みぞおちあたりに手首がくっつくように。
②声に出して「南無阿弥陀仏(なもあみだぶつ)」と何度か念仏します。
③上体を静かに前に傾け、数秒保ちます。
④上体をもとに戻します。
美しい合掌礼拝のポイント
合掌の際、胸につけた両手はななめ45度になるようにします。
礼拝の際は上を向いている人差し指の側面部分が床と並行になるように傾けていきます。この時、首は曲げずに腰から前にかたむけます。
また、目はつむりません。ゆっくりとした動作で行いましょう。ストップモーションを作ると美しく見えます。
よく、テレビなんかで目をつぶってお参りしているけど、本当は?
目はつむらなくて大丈夫。ポイントはゆっくりとした動作で、ひとつひとつをぴたっと止めること。そうすると綺麗に見えるよ。
念珠の種類と選び方
合掌礼拝の仕方やお念珠の扱い方は分かったけど、どんなお念珠を持てばいいかわからないわ。
たしかに。仏具屋さんに行くとたくさんの種類があるから迷うよねぇ。宗派によっても形が違うし。でも、大丈夫。おすすめの選び方を紹介するよ。
お念珠の形は大きく2種類
念珠には一連のものと、二連のものがあります。
単輪念珠(ひとわねんじゅ・通称:単念珠)と、双輪念珠(ふたわねんじゅ)という種類がありますが、葬儀やご法事、お寺参りをする浄土真宗のご門徒さんたちはほとんどの方が単輪念珠を身につけておられます。
房(ふさ)の形状に注意!
お念珠の大きな珠から出ている房には種類があります。
厳密には男女の区別はありませんが、一般に使われることが多いのは、男性用は「ひも房」、女性用は「切り房」です。
梵天房(ぼんぼり)は避けましょう。
色、材質には決まりがないよ。
房の形に気を付けて単輪念珠のひも房か、切房を選べばいいんだね。
こども用のお念珠もありますよ。
腕輪念珠
この腕輪念珠(うでわねんじゅ)はブレスレットのように左手首に通して使います。
常に身につけていられるので、急なお参りの時に役立ちますが、通常のお念珠として利用するにはサイズが小さいので、時間的に余裕がある場合は通常のお念珠を用意したほうがいいでしょう。
これで、お寺やお仏壇で基本となる合掌・礼拝の作法とお念珠の選び方は分かったかな?
うん!ばっちり!これで友達にも作法が教えられるよ。
それは、よかった!
また、作法教えてね!
もちろん!まだたくさんの作法があるから、ゆっくり学んでいこうね。
参考文献:浄土真宗仏事作法なんでも大辞典、浄土真宗本願寺派法式規範、プトラハンドブック~子どものための浄土真宗入門書~
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