登場人物
ひでさん
浄土真宗本願寺派・賢明寺の副住職
ブログでお寺をたのしくする情報を発信している。
ひでさんのむすめ・Sちゃん
元気な小学生の女の子
将来の夢は「坊守さんになること」
LINE風会話で学ぶWEB仏事作法講座②・お焼香イントロ
ある日のこと…
ねえ、お父さん。お参りの時に灰が入った入れ物に粉を入れると煙がモクモクとするじゃない?あれなあに?
ああ、お焼香のことだね。
おしょーこー?
うん、お焼香。お香を火にくべると煙と共にかおりが立ち込めるんだ。
へー!お焼香かぁ。今日はお焼香について知りたいな。
それじゃあ、お焼香について勉強してみよう!
お焼香をする意味
法事や葬儀でお焼香をする場面がありますよね。
そんな時、「どうしてお焼香をするのだろう?」と思ったことはありませんか?
お焼香には次のような意味があります。(浄土真宗の場合)
①体臭などの悪臭を除き、心身ともに落ち着かせてくれる。
②仏さまの慈悲のお心に触れる。
①はお香そのものの効果で、身を清浄にするとも言われます。このため、お香を仏前にお供えすることが早くから行われてきました。
②はお香の性質が関係しています。
どういうことかというと、お香の薫りって差別することなく誰にでもいきわたりますよね?
そのことからお香を通して、仏さまのわけへだてなく注いでくださる慈悲のお心を味わうという意味があります。
その他にも書物を見ると解釈があるのですが、このあたりが代表的な意味合いになっています。
ちなみに、浄土真宗では亡き者への追善供養という意味でお香をお供えしません。仏様の功徳をあらわすことと、清浄にするものだと覚えましょう。
お焼香の仕方・おおまかな流れ
さて、ここからはみなさんがとても気になる作法について。
大きな流れとしては次のようになっています。
↓
お焼香
↓
合掌礼拝
↓
一揖(いちゆう・一礼のこと)
最低限これだけ覚えておくと、慌てずスムーズにおこなうことができます。
まずは、ポイントを見ていきましょう。
お焼香時のポイント
お焼香の回数は一回でOK
お焼香は何回するの?
お香をつまんで、一回で大丈夫だよ。
お焼香はいただく、いただかない?
お香を「おでこ」に近づけるのを見たことがあるんだけど…?
「いただく」という作法だね。あれは、浄土真宗ではしないんだよ。つまんだらそのまま火にくべようね。
一揖(一礼)について
焼香をおこなう前にする一礼は一揖(いちゆう・揖拝とも言う)と言ってだいたい15度くらい傾けるおじぎのことを言うんだよ。(ちなみに、礼拝は約45度傾けます)この時のお礼は仏さまに対する礼なので、お香にするわけではないんだよ。
焼香時の挨拶について
お寺さん、喪主(施主)、他の参列者と、3回の挨拶をされる方が多いですが、儀式の妨げにならないように注意しましょう。
お焼香時のポイントまとめ
・額におしいただかない。
・火(炭)にくべるのは、一回だけ。
以下からは少し細かく見ていきましょう。
会場などの違いによって、全部で3パターンほどあります。
①立っておこなう(葬儀場の広い会場などで多い)
①焼香卓(しょうこうじょく)の手前で立ち止まって一揖(いちゆう・一礼のこと)し、卓の前に進みます。
②次に香盒(こうごう・お香のいれもののこと)の蓋を右手でとり、右縁にかけます。
③お香を一回つまんで香炉にいれ、香盒の蓋をして合掌礼拝します。
④礼拝が終われば右足から後退し、両足をそろえて立ち止まり、一揖して下がります。
それでは、実際の作法を連続写真で見ていきましょう。
①自席より進んで、焼香卓(しょうこうじょく)の前に立つ。
一揖(いちゆう・一礼のこと)し、卓の前に進みます。
右手で香盒(こうごう・抹香のいれもの)蓋を開け、右縁にかけます。
※抹香(まっこう)…粉末状のお香のこと。
抹香をつまみ、火(香炭)にくべます。
蓋をします。
葬儀場や続けてする人がいる場合は蓋をあけておいてもいいでしょう。
合掌
お念仏を称えます。
礼拝
姿勢を正し、一歩下がり一揖(いちゆう・一礼のこと)します。
お焼香が終われば自席に戻ります。
ここまでが一連の作法です。
立って行っていますが、お焼香の作法自体は他の姿勢でも変わりません。
▼合掌礼拝の作法はこちらで確認しよう>>>
香盒の蓋は葬儀場などではすでに開いていることがあるよ。
へー。そうなんだね。
②座っておこなう(香炉が低い位置にある場合)
①焼香卓(しょうこうじょく)の手前で立ち止まって一揖(いちゆう・一礼のこと)し、卓の前に進み、座ります。
②次に香盒(こうごう・お香のいれもののこと)の蓋を右手でとり、右縁にかけます。
③お香を一回つまんで香炉にいれ、香盒の蓋をして合掌礼拝します。
④礼拝が終われば起立して、右足から後退し、両足をそろえて立ち止まり、一揖して下がります。
自席にいる状態です。順番がきたら立ち上がります。
焼香卓の前で一揖(いちゆう・一礼のこと)します。
しゃがんで正座をして、
右手で香盒(こうごう・抹香のいれもの)蓋を開け右縁にかけます。
※抹香(まっこう)…粉末状のお香のこと。
抹香をつまみ、火(香炭)にくべます。
この時、香炭の上に落とすようにしましょう。
もくもく…。
香盒の蓋をします。
葬儀場や続けてする人がいる場合は蓋をあけておいてもいいでしょう。
合掌
声に出してお念仏。
礼拝
合掌礼拝が終わったら、立ち上がり一歩下がります。
焼香卓の前で一揖(いちゆう・一礼のこと)します。
自席に戻ります。
お寺でのお焼香場合、香盒の蓋を始めから開けていてくれるところも多いよ。
③まわしておこなう(家庭での法事など)
①焼香盆を自分の前に置き、一揖します。
②次に香盒(こうごう・お香のいれもののこと)の蓋を右手でとり、右縁にかけます。
③お香を一回つまんで香炉にいれ、香盒の蓋をして合掌礼拝します。
④焼香盆を次の方に渡します。
お焼香をまわしておこなう場合はご自宅での法事が多いと思います。事前に香炭を用意しておきましょう。
法事のお焼香の時、ご自宅で用意するもの
香炉(こうろ)と灰
香炉は土香炉(どごうろ)という陶器のものを使うといいでしょう。
中の灰も忘れずに。近くの仏具屋さんでセットで求めてください。
香盒(こうごう)と抹香
香盒(こうごう)とは抹香入れのことです。
中に入れた抹香も一回の法事で使い切ることはよほどのことがない限りないので、香盒のサイズはあまり大きくなくてもいいでしょう。
お坊さんが持っていくことも多いので、お寺に問い合わせてみるのもいいでしょう。
抹香は香のよいものを選びましょう。
好みがあるので、仏具屋さんやお香屋さんなどで香を嗅いでみることをおすすめします。
焼香盆(しょうこうぼん)
こちらは下がり藤の入ったお盆ですが、ない場合はご家庭にある普通のお盆でかまいません。
香炉炭(こうろずみ)・火種
こちらはぼくが使っている香炭。
色々なものが出ていますが、こちらは火が付きやすいので愛用しています。
こちらが実物。
時間に合わせて適当に折って使うことができます。
こちら一つで約25分もつとのこと。
蝋燭で炭に火をつけて香炉に寝かせて使っています。
法事など時間が決まった法要の際は直前につけるといいでしょうし、たいていの場合焼香のタイミングを熟知したお坊さんがやってくれるはずです。
まとめ
さて、LINE風会話で学ぶWEB仏事作法「焼香編」いかがだったでしょうか?
本番ではとまどってしまうこともあるでしょうが、なにより大事なのは仏さまを大事にする心です。
少しずつ慣れていけばできるようになるはずですから、まずは仏さまに礼拝するのだという気持ちを忘れないようにしましょう。
それでは、また!
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